質屋の利息は109%です。
ものすごく高金利です。でも質屋が大もうけしたという話は聞かないし、質屋をあくどい高利貸だと非難する声も寡聞にして知りません。一方、サラ金は出資法ギリギリの29%ですが、業界全体で10兆円も儲かったものだから、サラ金の社長が何人も「フォーブス」の長者番付でビル・ゲイツと共に紹介されたりしました。 金利109%の上、担保までとっている質屋がたいして儲らないのに、29%のサラ金が荒稼ぎできるのは、企業規模の違いは当然ありますが、本質は、両者の貸出し期間に大きな差があるからです。質屋は取引が短いのに対して、サラ金は10年以上の人が30%、中には20年以上(私がそう)の人も珍しくないと思います。この取引期間の長さは、リボ払の怖ろしさ(貸出し限度額を自分の貯金のように錯覚する)への私たちの鈍感さにも原因があるので、反省が必要だと思います。 プロミス(の選任弁護士)は、今回の準備書面で、無担保で小口の客が相手だし、貸倒れのリスクが高いことも考慮した結果なのだから、利息制限法に違反した高金利を契約条件としてもそれは合理的で問題ない、といった風な主張をしています(あっさりと利限法違反を自白したのには驚きました。自明のことだから否定しても同じですが、わざわざ自分から自白するものかなあ。あるいは不法行為で訴えた効果だったかもしれません)。こうした主張はめずらしくないですが、ちゃっかりと取引期間については触れない抜目のなさはさすが弁護士です。(サラ金の借主は平均で6.5年、10年以上の人が30%近くいると言われています。) それから、「貸倒れのリスクが高い」というのは事実でしょうか。過払金が発生するのは長期間に渡って借主が勤勉に払い続けた結果です。そして、完済して過払金が発生している事案が500万件もあるという事実は、貸倒れのリスクが高くないことの証明(統計資料が無いのでわかりませんが)と言えるのではないでしょうか。自分のことを振返っても、サラ金にだけは返さないと大変なことになる! という思いで苦しい中、長期間返済を続けてきた経験からして、それほど貸倒れのリスクは高くないのではという気がします。 過払金返還請求が急増してサラ金の経営を圧迫していると言われていますが、彼らは、これまで2225万人もの借主を騙して10兆円の荒稼ぎしてきたことの尻ぬぐいをしているだけですから、同情の余地はまったくありません。 (数字は「名古屋消費者信用問題研究会編 サラ金・クレジット会社からお金を取返す方法」から抜粋) #
by fuhokoui
| 2010-01-27 11:36
| プロミス
プロミス、社員3割減 「過払い」重荷10年度末までに
消費者金融最大手のプロミスは2010年度末までに、グループ全体で従業員を3割超減らす方針を固めた。~中略~09年11月に創業家出身の神内博喜社長が退任。20%出資する三井住友銀行の出身の久保社長が後任に就き、信用補完を図った上で、リストラ計画を詰めていた。 あらら、私の訴状には神内博喜社長の名前を書いたんですが、その後交代してたのか。サラ金業界も風雲急を告げているようです。 私の過払金もさっさと払って「信用補完」を図ってください。過払い訴訟より、改正貸金業法による規制強化の方がサラ金にとってはダメージが大きいでしょうね。リストラされた社員の再就職の道はあるのかなあ? 別に心配してるわけじゃないけど。 #
by fuhokoui
| 2010-01-27 10:25
| プロミス
第一準備書面を簡易書留で東京地裁に送りました。
第二期日までずいぶん待たされたせいで、中だるみしてなかなか準備書面に集中できず困りましたが、やれやれです。今はちょっと気が抜けた状態です。第二期日は今週なので、本当は気を抜いている場合では無いのですが… サラ金が今回、不法行為が成立しないことを言うために例証として持出してきたのは次の三つの最高裁判例でした。 1)平成16年2月20日 最高裁第二小法廷判決 2)平成18年1月13日 最高裁第二小法廷判決 3)平成21年9月4日 最高裁第二小法定判決(受)第47号 1は、みなし弁済を否定する最高裁判例の流れの布石を作った判例。(詳しくは読んでいません。) 2は、みなし弁済を実質的に無効と判断した判例(これも概略しか知りません。) 3は、――3は、まだ私も十分に理解できていません。不法行為の明確な定義となる文言がある一方で、よくわからないところがあります。 今回サラ金が最初に持出してきたのはこの3番目の判例でした。 1~2については、みなし弁済の厳格適用を判示したこの判決が出るまでは、みなし弁済が認められる可能性があったのだから、古い取引では不法行為にはならないよ、とサラ金が言いたいために持出してきます。 3については、(たぶんもっと微妙な)時間的問題です。判決文にある「事後的」「結果的」という言葉がキーワードです。みなし弁済が適用されないことは後になって初めてわかったんだ、と言いたいためにサラ金はこの判例を持出してきます。サラ金にとっては不法行為への反論としては(3)が使いやすく頼りにしているように感じます。 不当利得返還請求訴訟なら、最初か後か、時間的な問題は問われません。みなし弁済が適用されなければ時期がいつであっても悪意の受益者が認定されて利息も取れます。しかし不法行為の訴えでは、単にみなし弁済の適用がなかった(悪意の受益者)だけでは勝てません。 「過失」が不法行為の要件事実のひとつだからです。過失の定義は(学説でも分れていますが)、「予見可能性を前提とする結果回避義務違反」が通説として使えるようです。「悪いことだと最初からわかってたのに、あえてやっただろう」ということです。 後段の「結果回避義務違反」の方は比較的簡単です。過払金が発生した後の被告の違法行為の立証ですから、「告知義務違反」と「架空請求」をうまく説明できれば片が付きます。やっかいなのは「予見可能性」の方です。「最初から悪いことだとわかっていてやっただろう」と原告が立証しなければならないので、難易度が高くなります。 この難易度をいっそう高くしたのが、H21.09.04最判(3番目)です。 「当時の下級審裁判例の見解が分れていたため、みなし弁済が適用される可能性があった」 と、この最判が判示したことで(この判決はおかしいとする批判もありますが、下級審は最判に従いますから)、「最初からわかっていただろう=予見可能性」の立証が格段に難しくなりました。みなし弁済の適用が、例え針の穴のような小さな可能性であっても、少しでもその可能性があれば、不法行為の立証(過失)が崩される公算が高くなりました。H21.09.04最判が不法行為訴訟に立ちはだかる高い高い壁になってしまいました。 これから不法行為で訴える予定のある人は、この三つの最高裁判決、とくにH21.09.04最判をよく研究しておく必要があります。まあ、不法行為で訴えるぐらいの人なら、以上のことはとっくに承知のことだとは思いますが…。 (注:筆者は過払い返還請求初心者です。過払い金を知ってまだ4か月たらずです。ですからここに書いた内容を鵜呑みにしないで下さい。あくまで個人的なメモのようなものですから。また、勘違い間違いがあれば指摘してもらえると幸いです) #
by fuhokoui
| 2010-01-25 23:30
| MEMO
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